【開催報告】第10回 大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウム
サイエンスコーディネータ 社本 真一
2024年9月12日、第10回大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウムを総合科学研究機構(CROSS)は、高輝度光科学研究センター(JASRI)、高度情報科学技術研究機構(RIST)との共同主催により、東京秋葉原UDXカンファレンスにて、オンライン併用にて開催しました。本シンポジウムでは、先ず文部科学省の野田浩絵課長からご挨拶をいただき、その後、JASRI、CROSS、RISTから、各施設と3登録機関の紹介(JASRI:「SPring-8・NanoTerasu / JASRI」、CROSS:「J-PARC / CROSS」、RIST: 「「富岳」、HPCI / RIST」)がありました。
次に「高圧」をテーマとして、3つのセッション「高圧誘起超伝導の現状」「高圧下での物質合成とその評価」「地球惑星科学への応用」で合計8件の講演が行われました。高圧は小さな試料空間ほど高い圧力を実現できることから、高強度な中性子線や放射光X線を欠かすことができず、大型実験施設が得意とする分野です。また超高圧実験は圧力セルに消耗品として高価なダイヤモンドアンビルを用いることから、実験前に富岳のような高精度計算予測が必要です。このことから高圧の分野は3登録機関の連携により大きな成果を期待できる分野です。その他に、高圧溶液下での化学反応は産業上も重要です。最後に、ポスターセッションでは、それぞれの施設の活動報告と施設利用に関する相談等が行われました。また昨年に引き続き、文部科学省データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト(DxMT)から「データ連携部会中核機関の取り組み」、東京大学物性研究所から「共同利用スパコン関連事業の取り組み」についてのポスター発表も行われました。
オンラインと合わせた参加者総数は141名であり、これまで同様に多くの方々にご参加いただき、活発な質疑応答が繰り広げられました。シンポジウム参加者へのアンケート調査では、企業からの参加者が34.5%あり、全体の93%の方が参加目的をほぼ達成されたことが分かりました。また、SPring-8・NanoTerasu、J-PARC/MLF、「富岳」HPCI の連携利用について、約8割が検討されるとの結果でした。今後、このような連携シンポジウムを継続して開催することにより、産官学の連携も含めて、有意義な大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用が促進されることを期待します。
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